リボンズハウス

リボンズハウス15周年

三重大学病院のがん診療が目指すのは、病気だけではなく、一人ひとりの悩みや“その人らしさ”にも目を向けた総合的なケアを届けることです。このブログで毎月プログラムをご紹介しているリボンズハウスもその考え方の中で開設され、がん患者さんの治療と生活をつなげられるようなプログラムや場の提供を行っています。
そんなリボンズハウスは、今年15周年を迎えました。この間の来室者はのべ38,000名、そして、本当に多くのボランティアさんやご関係者の方々にお力添えをいただいてきました。
そこで、今回は、皆さんを温かな笑顔でお迎えすることを大切にしている國分さんに15年を振り返ってもらうことにしました。

リボンズハウス 國分由起

がん患者さんの治療と生活をつなぐ

リボンズハウスは、NPO法人キャンサーリボンズが「がん患者さんの治療と生活をつなぐ」をテーマに全国各地に展開する施設です。三重大学病院では、このテーマと活動に賛同し、2010年1月、院内にリボンズハウスをオープンしました。

当院では、がん相談支援部門に属する施設として、「なごみの場」、「がんに関するさまざまな情報提供の場」、「がん患者さんやご家族の交流の場」であると同時に、がんに関する相談の窓口にもなっております。

15年間の来室者はのべ38,000名

当院のリボンズハウスは、治療の副作用による脱毛した際のタオル帽子の作り方講座や、なごみサロン、リラックスヨガ教室などのイベントプログラムの開催から始まりました。現在は、これらに加えて、勉強会や就労相談会、アロマ教室など全16種類のプログラムを揃え、合わせると年間200回を超える規模になっています。

そして、こうしたプログラムへの参加をはじめとして、オープンしてから大変多くの方にご利用いただき、2025年1月末現在までの来室者数はのべ38,000名を数えるまでになりました。

リボンズハウスでは、患者さんやご家族のがん相談に対応しています

「あの時、ここに来て本当に良かった」

リボンズハウスにお越しになった患者さんから、「ここに来るとホッとする」と言っていただくことがよくあります。

心に残る患者さんの言葉は本当にたくさんあるのですが、例えば、がんと診断されてすぐリボンズハウスに来られ、心配や不安でずっと涙を流されていたある患者さんが話されたこともその一つです。
その方は、治療が少し落ち着いた頃に立ち寄ってくださり、「あの時、ここに来て本当に良かった。ずっと辛く、どうしてよいのかわからずにいたけれど、ここに来て話を聞いてもらえ、また他の患者さんとも話をすることで気持ちが楽になり、元気がでました」とおっしゃっていました。

これから治療が始まる方はもちろんのこと、治療中の方もそれぞれに心配や不安を抱えてリボンズハウスにお越しいただいていると思います。そんな患者さんやご家族の方に笑顔になっていただき、前向きに治療をがんばろうと思っていただけた時、少しでも患者さんのお力になれたのかなと感じ、嬉しく思います。

多くの皆さまに支えていただいたおかげ

15周年に際し、リボンズハウスが様々なプログラムを継続してこれましたのは、ピアサポーターさんや、ボランティアの方々、医療関係者や企業関係者の方々など、本当に多くの皆様に関わっていただき、支えていただいたおかげだと改めて感謝しております。

皆さまの常に患者さんに寄り添った丁寧な対応で、参加される患者さんやご家族も安心してお越しいただいています。

ボランティアの方々が作成し寄付をいただきました手作り帽子は、温かいメッセージ付きで、多くの患者さんにとても喜ばれております。最近では、患者さんのリクエストにもご対応いただくなど感謝の気持ちでいっぱいです。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

ボランティアの方々による帽子やメッセージカード。少しでも明るい気持ちになれるようにとの思いが、色とりどりの帽子のデザインにも込められている。

今後も「また来たい」と思っていただけるように

これまでもスペースによる定員数の制限をなるべく受けず、多くの方に参加いただけるように、プログラムをコース制にしたり、セルフケア向上を目指した内容に変更したりするなどの工夫を重ねてきました。

これからの取り組みとしては、まだまだ参加が少ない傾向にある男性の方にももっと気軽にご利用いただけるようにしていければと思っております。わかりやすいご案内や利用方法、または勉強会や相談会などを充実させ、来室していただきやすいよう工夫していきたいと考えております。

今後も「来て良かった。また来たい」と思っていただける場所をご提供してまいります。

どんなことでもお一人で悩まずリボンズハウスへ

リボンズハウスでは、がんの治療やケアに関するさまざまな情報を取り揃えており、どなたでもご利用いただけます。お部屋は温かみのある空間となっており、患者さん同士の体験をお話されたり、不安や悩みを相談されたりと交流の場としてもご利用いただけます。

また、病院という施設にある特色を活かして、多職種で患者さんやご家族のご相談にも対応しております。
治療に関する不安や悩み、生活上のお困りのことなどどんなことでもお一人で悩まずリボンズハウスへお越しください。

患者さんやご家族がより自分らしく、少しでも快適で心地よい生活を送ることができるように、私たちスタッフはできる限りのサポートをさせていただきたいと考えています。
まずは患者さんやご家族のお気持ちをじっくりとお聴きし、一緒に考えを整理したり、気がかりに対して共に解決策を探していくことを大切にしたいと思っています。

リボンズハウスには、がん支援センターを中心に様々な専門家が運営に関わっているとともに、いろいろな情報も揃っているので、何かあればお気軽にぶらりとお立ち寄りください。
(写真左から、國分由起事務補佐員、水野聡朗がん支援センター長、鈴木志保子医療ソーシャルワーカー、堀口美穂看護師長/がん看護専門看護師。この他、伊藤法子医療ソーシャルワーカーもチームに加わっている。)

関連記事

ページ上部へ戻る