
令和6年能登半島地震の被災地へのDMAT等派遣状況
(2024年1月2日~2月5日)
令和6年1月1日に発生しました「令和6年能登半島地震」により犠牲となられた方々に謹んでおくやみを申し上げるとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、被災地の一日も早い復旧をお祈りしています。
能登半島地震発生から一か月以上が経ち、ライフラインや医療体制などが徐々に復旧し、被災者を取り巻く環境が刻一刻と変わって行く中で、必要となる支援も変化してきています。
三重大学病院では、1月2日(火)にDMAT第一陣を派遣して以降、DMATに限らず、JDA-DATとして栄養士、また災害支援ナースや臨床検査技師など、被災地からの要請に応じて各職種を派遣し、現地の災害拠点病院や避難所などで活動を続けております。
今後も被災地域のニーズに合わせて、当院としてできうる支援を行う予定です。
派遣状況
DMAT 第一陣
期間 | 2024年1月2日(火)~1月5日(金) |
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派遣内容 | 医師2名、看護師2名、業務調整員2名(薬剤師、臨床工学技士) |
派遣先 | 石川県輪島市、他 |
主な活動 | ・トリアージの赤・黄エリアを中心に診療支援 ・自衛隊ヘリ患者搬送活動の支援 ・三重大学病院のドクターカーと公用車による金沢市内の病院への患者搬送 |
隊長コメント | 三重大学病院のDMAT第一陣として、能登半島地震への災害医療派遣に行き、最も被害が大きいとされる病院の支援を行いました。大変な活動でしたが、被災地の方々のお役に少しでも立てていたらと思います。 (救命救急・総合集中治療センター/災害医療センター 新貝達) |
DMAT 第二陣
期間 | 2024年1月6日(土)~1月9日(火) |
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派遣内容 | 医師2名、看護師2名、業務調整員2名(診療情報管理士、社会福祉士) |
派遣先 | 石川県輪島市、他 |
主な活動 | ・夜間診療のサポート ・朝食の配膳、病棟業務の支援 ・三重大学病院のドクターカーによる金沢市内の病院への患者搬送 |
隊長コメント | 輪島市内の病院で医療支援活動を行いました。被災地では、生活用水がないなど日常生活もままならぬ状態が続いています。そういった中で、現地の医療スタッフの方々が、地域医療を支えてくれている現状があります。我々DMATとして、今後も息の長い医療支援が必要だと感じました。 (脳神経外科/血管ハートセンター 岡田健) |
DMAT 第三陣
期間 | 2024年1月11日(木)~1月15日(月) |
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派遣内容 | 医師2名、看護師2名、業務調整員2名(診療放射線技師、臨床工学技士) |
派遣先 | 石川県輪島市、七尾市、他 |
主な活動 | ・病院避難と患者搬送の調整業務を支援 ・発熱外来での診療業務を実施 ・本部機能活動の支援 |
隊長コメント | まだ水道や下水が復旧せず、避難所などで多くの方が共同で過ごしておられます。そのため、発熱や下痢などの感染症、深部静脈血栓症や糖尿病性ケトアシドーシス(急性代謝性合併症)といった災害時関連疾患が発生し、徐々に進行する亜急性期と呼ばれる状況でした。 現地の医療スタッフの方も被災者で、心身ともに相当に疲労されており、三重大学病院DMAT第3次隊は現地スタッフの負担軽減のための診療サポートにも従事してきました。復興にむけて多職種での継続した支援が重要であると再認識しています。 (肝胆膵・移植外科/災害対策推進・教育センター 岸和田昌之) |
JDA-DAT 第一陣
期間 | 2024年1月5日(金)~1月8日(月) |
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派遣内容 | 管理栄養士1名 |
派遣先 | 石川県輪島市、他 |
主な活動 | ・緊急災害支援車両の引き渡し ・各避難所や病院の訪問 ・物資の提供 |
コメント | 今回、日本栄養士会の能登半島地震における支援活動の一陣として出動し、災害支援車両の移送、石川県栄養士会の災害拠点の立ち上げ支援、避難所への物資搬送等、初期活動を行いました。今後のフェーズの変化にあたり継続した支援活動が行えるように準備したいと思います。 (栄養診療部 小出知史) |
DMAT第四陣
期間 | 2024年1月19日(金)~1月23日(火) |
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派遣内容 | 医師1名、看護師1名 DMAT補助要員(救急救命士4名) |
派遣先 | 石川県輪島市、他 |
主な活動 | ・翌日の転院調整 ・夜間救急外来診療 ・三重大学病院のドクターカーによる石川県内の病院への患者搬送 |
隊長コメント | 2011年の東日本大震災の時は研修医ながらチームに帯同させていただき、力の足りなさを実感しました。あれから10年以上が経過し、今回は、正式なDMATとして、またその隊長として、現地で約3日間の活動を行ってきました。チームにも恵まれ、できる限りの支援を行えたのではないかと思います。 被災された地域は、まだまだ継続した支援が必要です。一日も早い復興をお祈りいたします。 一方で、いつか三重県が被災する可能性もあります。その際には今回の経験を活かし、まず一歩踏み出せる自分でありたいと思います。 (総合診療科 山本貴之) |
救急救命士(非DMAT)の コメント | DMAT第四陣として、三重大学病院からハイブリッドワークステーション(以下 HWS)の救急救命士4名を派遣していただきました。 私たちHWSは、派遣にあたり次の目標を掲げました。第一に「被災者にできる限り寄り添った活動を目指すこと」、第二に「タスクシフトとしての活動を充実させること」、第三に「救急救命士の資格を活かした活動を行うこと」です。 実際の活動では、自衛隊への搬送支援業務や救急外来受付業務、三重大学病院ドクターカーを使用した転院搬送を2件、そしてDMATのロジスティック業務を行いました。少しでも被災者のお役にたてたなら幸いです。 これからも連携や協力による救急医療の発展にチャレンジして行きたいと思います。 (救命救急・総合集中治療センター/津消防 富田泰成) |
ハイブリッドワークステーションとは
近隣市から派遣された救急救命士が当院の救急救命センターにて、救急医のタスクシフトとして業務を行うことで医療知識・技術の専門性を高める、当院独自の取り組みのこと。
DMAT第五陣
期間 | 2024年1月25日(木)~1月29日(月) |
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派遣内容 | 医師2名(先発隊1名、後発隊1名)、看護師1名、業務調整員(薬剤師)1名 災害支援ナース1名 |
派遣先 | 石川県輪島市、他 |
主な活動 | ・石川県内の病院へ患者搬送 ・夜間救急外来診療 ・カルテ整理や院内の食料整理など病院機能再開に向けた院内復興支援 ・物資調達 |
隊長コメント | 三重大学病院のDMAT第五陣として、主に現地の病院支援をさせていただきました。 第五陣には第一陣のメンバーが2名参加し、第一陣のころと比較すると道路状況が良くなっていることなど、少しずつ復興に向かい始めていることを実感しました。一方で支援にあたりました病院もまだ水道が使用できず、日常生活に戻るまでまだ時間を要する印象でした。少しでも被災地の方々のお役に立てればと思います。 日本はどこでも震災など災害が発生する可能性があり、三重県で同様のことが生じたときのためにも備えていきたいと考えます。 (脳神経内科/認知症センター 新堂晃大) |
看護師(非DMAT)の コメント | 今回非DMAT看護師として参加させていただきました。派遣先には20名強の災害支援ナースが派遣され、外来受診再開に向けた準備段階でした。その中で診療報酬再開に向けたカルテ整理などを担当致しました。現地の日常生活や病院機能の再開に向けて継続した支援がまだまだ必要であると感じさせられました。 また、病院機能再開に向けた支援を通じ、災害時への備えについて考える機会となり、貴重な経験をさせて頂きました。 (総合サポートセンター 本多正繁) |
JDA-DAT第二陣
期間 | 2024年1月19日(金)~2024年1月22日(月) |
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派遣内容 | 管理栄養士1名 |
派遣先 | 石川県七尾市、他 |
主な活動 | ・被災地への特殊栄養食品の運搬 ・避難所の食事状況調査 |
コメント | 今回私たちは特殊栄養食品の運搬と需要の調査を行い、後発部隊へ支援活動を引き継ぎました。 主要な避難所では、食品などの支援物資が少しずつ届き始めている様子でしたが、小規模避難所においては、いまだ現状把握ができていない部分が多くありました。特に、要配慮者(高齢者・乳幼児・アレルギー等)に対する支援活動や個々に見合った食料品の支援が必要と感じました。 JDA-DATとして必要な支援が継続的に届けられればと思います。 (栄養診療部 森貴宣) |
災害支援ナース第一陣
期間 | 2024年1月30日(火)~2024年2月2日(金) |
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派遣内容 | 看護師(災害支援ナース)1名 |
派遣先 | 石川県金沢市の1.5次避難所 |
主な活動 | ・避難所内テントの訪問と看護ケアの実施 ・内服薬の管理等を含めた日常生活の援助 ・感染症対策 |
コメント | 支援に伺った避難所に避難されていたのは施設入所の方々で、これまでの生活が補われず、誤薬、口腔内汚染、低栄養、免疫低下、筋力低下などにより感染症に罹患しやすい状況でした。私は、口内保清と栄養管理の必要性を伝えながら関連のケアを行い、多職種と共同して感染管理などに取り組みました。 災害支援ナースの活動は続きます。この先も形を変えて、復興まで支援を続けていきたいと考えます。 (9階北病棟 大原美佳) |
災害支援ナースとは
災害発生時において、被災者が健康レベルを維持できるように適切な医療・看護を提供するとともに、被災した看護職の心身の負担を軽減し支える役割を担う看護師。
主に、被災した医療機関における看護業務や、避難所の環境整備と感染症対策、避難所での受診支援や医療チームへの橋渡しなどの活動を行う。
日本臨床衛生検査技師会被災地DVT(エコノミークラス症候群)検診
期間 | 2024年2月3日(土)~2024年2月5日(月) |
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派遣内容 | 臨床検査技師1名 |
派遣先 | 石川県能登町内の避難所 |
主な活動 | ・被災地でのエコノミークラス症候群検診 (下肢静脈エコー、D-ダイマー測定、血圧測定、酸素飽和度測定、弾性ストッキング着用指導) |
コメント | 避難所での生活が1か月以上となり、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の発生が危惧されています。下肢静脈エコーを中心とした血栓の有無に関する検診を日本臨床衛生検査技師会が実施しており、派遣の依頼がありましたので三重県の医療機関等に勤務する臨床検査技師10名と共に石川県能登町内の避難所を回り検診を行って参りました。 我々が回った避難所では、幸いにも直ぐに治療を開始しなければならないような方は見られず安堵いたしました。今後も被災地でのエコノミークラス症候群検診に取り組んで行きたいと思います。 (検査部 森本誠) |
三重大学病院は、万が一の災害時に地域の救急医療を担う「災害拠点病院」に指定されています。
災害発生時に、災害による負傷者への対応だけでなく、入院患者さんの医療を継続するという複数かつ重要な役割を適切に実行できるよう、当院では平時から様々な取り組みと準備を行っています。
Online MEWS「医療と防災」では、当院の防災対策やみなさんに役立てていただける防災のヒントをお伝えしています。